奥会津三島町での日々

噛めば噛むほど美味しいスルメのような魅力を持つ奥会津三島町の暮らしや協力隊活動の様子を書いてゆきます。

虫送り

13日土曜日に、虫送りという伝統行事を見学してきました。

昔『八日目の蝉』というドラマで小豆島の虫送りのシーンが印象深くありましたが、その虫送りが自分が今住むこの町にもありました。

 

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全国各地の農村に今も残るこの行事は、農作物に害のある虫を追い払うために行われているそうです。三島町では今も3地区でこの行事が受け継がれており、福島県重要無形民俗文化財に指定されています。一昔前までは、地元の小中学生が中心となって行われてきたそうですが、今は子どもが少なくなり、大人も手伝いながらとり行われているそうです。

 

ここのところすっきりしないお天気が続いていましたが、この日はお天気も持ち、始まるころには素晴らしい夕焼けが空が広がっていました。

 

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虫籠や松明を持つ行列が集落内を下手から上手へ、再び下手へと練り歩きます。太鼓の音と人々の掛け声が響き渡り、沿道では近所の人たちが虫送りの様子を見守ったり、おしゃべりを楽しんだりと、ゆったり心地よい時間が流れていました。

 

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最後は集落の下手で、虫の入った虫籠などを燃やします。その頃にはすっかり日も落ち、火の粉に交じりホタルのうす緑の光も舞っていて、何とも美しい時間でした。

ホタルの舞う季節

気づけば、今年もホタルの舞う季節となりました。昨年、集落のただ中でホタルが舞っているのを見て、とても感動したのをよく覚えています。

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ホタルの写真はないので…すくすく生長する田んぼ


私は川崎市といっても比較的里山の残る郊外育ちで、職場は東京でも美しい里山の広がる中にあり、仕事帰りによく見ることもあったので、ホタル自体は珍しくなかったのですが、ここの人たちは集落によっては家の目の前でホタルを見ることができる、ホタルとこんなにも近く暮らし、生活空間を共にしているということに、昨年の私は衝撃を受けました。

そして、満天の星空のもとにホタルが舞う姿は初めてで、自分が異次元にいるような感覚に包まれ、とても感動しました。

 

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川霧もよく出ています

そんな夜の美しい季節が今年もやってまいりました。

明かりがなく人気のないところを歩くのは、夜の動物などに出会いそうで最初は怖いのですが、でもホタルを見つけると「あぁ、いたいた」ほっと一安心。その頃には目も慣れ、怖さは薄らいでいきます。

そして、先日は迷子になったのか、田畑からは遠い我が家の玄関前にホタルが一匹舞っていて、私を出迎えてくれました。
カエルやフクロウ、名前を知らない鳥たちが鳴く夜にホタルの舞も加わり、夜散歩&ドライブが楽しいです。

 

移住者インタビューその6

西茉美さん(29歳)

2017年12月、結婚を機に三島町に移住されました。飯館村出身のご主人恭平さん(30歳、佐久間建設株式会社森林事業部)と1歳3か月の息子さんの3人で、憧れの暮らしを少しずつ形にしていらっしゃいます。

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三島町へと移住したいきさつ

 私は宮城県仙台市の郊外、住宅街で育ちましたが、学生時代からの地域づくりの活動を通して、人とのつながりや、手しごとが身近にある地域の暮らしに魅力を感じていました。宮城大学では事業構想学部デザイン情報学科で建築設計を学び、その後同大学院で地域づくりの研究室に入りました。卒業後、東京の設計事務所に勤めていましたが、2016年に宮城県に戻り、宮城大学で研究員としてまちづくりに関わる仕事をしました。

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 授業プログラムを考え、宮城県内や福島県内の地域で調査をしたり、学生や地域の方々とまちづくりの活動をしました。学生時代から様々な地域と関わってきましたが、いつか自分も地域の人になりたい、地域で暮したいという想いがずっとありました。自分が暮らす場所探しをしていたともいえます。

 福島県石川町はそのうち住みたいと考えた特別な地域です。地域づくり活動の一環で、地元の方たちが使う漬物や総菜の加工所「野木沢加工所ふじわちゃん」の設計や加工品パッケージのデザインなどに携わりました。

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 いつも泊まらせてもらい、お世話になっている地元の方がいるのですが、ここで日常の暮らしというのを体験させてもらったのが、今につながっていています。かれこれ10年近くのお付き合いとなりますが、三島町のこの家にも遊びに来てくれました。今でもワークショップを開催したり、気軽に立ち寄れるお茶飲み場として不定期でカフェを開いたりと人が集える場所作りに関わっています。主人と再会しなかったら、もしかしたら石川町に移住していたかもしれません。 

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 同じ大学の一年先輩である主人と付き合うようになってから、三島町へと来るようになりました。主人は卒業後、長野県の工務店に勤めていましたが、実家のある福島に戻り、三島町で働いていました。私は通うたびに三島町のことを好きになり、結婚を機にこちらへ移ってきました。

 

今の暮らしについて

 すごくいい環境で、恵まれていると思っています。今は毎日子育てに奮闘中です。里帰り出産をして、去年の4月に戻ってきましたが、近所の方々や先輩ママさんたちに見守ってもらいながら、助けてもらいながら日々過ごしています。私が用事のあるときに、しばらく子どもだけを預けみてもらうこともあります。両親は近くにいませんが、周りの方々のおかげで私たちの暮らしは成り立っていて、本当にありがたいことだと思っています。

 平日はたいてい午前と午後に一回ずつ子どもと町内を散歩しています。その途中でご近所の方々にお会いするので、おしゃべりしたり、お茶飲みをしています。週末は家族3人で近所を散歩したり、沼沢湖へ出かけたり、その時期にはカタクリを見に行ったりしています。子どもの同級生家族が近所に何組かいるので、一緒にバーベキューをしたりすることもあります。

 家を出ると山が見え、自然がすぐ近くにあるのもいいなぁと思っています。たくさんの方にお世話になり、やさしさに囲まれながら暮らせているので、キリキリすることもなく、余裕を持って子育てできているように思います。そのやさしさを感じながら、感謝の気持ちを持って、いずれはしていただいたように他の人を思いやる気持ちをこの子も持ってくれるといいですよね。親としてはそんなことを思ったりしますが…とにかく息子なりにこの環境からいろいろなことを感じたり学んだりしてくれたらいいなあと思っています。

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大豆畑

 畑も借りてやっています。収穫は私もしますが、あとは主人にお任せです。大豆も育てていて、できた大豆でお味噌も作っています。梅干しや梅シロップを仕込んだり、庭のベリーでジャムを作ったり、自分で割ったクルミでケーキを焼いてみたりもしました。ベニシアさん(NHK「猫のしっぽ カエルの手 京都 大原 ベニシアの手づくり暮らし」が有名)のような手しごとのある暮らしは憧れでしたから、こういうことができる暮らしは楽しいです。 

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ジューンベリー

 それから、去年は「だんごさし」を家でやってみました。自分たちが暮らしている土地の行事や習慣は大切にしていきたいと思っています。

 

お住まいについて

 この家は購入しました。宮下地区に通いなれ、結婚前からご近所の方々とお付き合いさせていただいていたので、宮下地区で住まいを探していました。なので、この家を紹介していただけ、とてもありがたかったです。設計も自分たちで考えながら、1階は主人の働いている佐久間建設に改修してもらい、2階は主人が地元の人に習いながら、自分で床の張替えなどを行っています。木は主人が切った地元の杉や桐を使い、壁は漆喰にしました。まだまだ片付いていないですが、少しずつ整えています。元ラーメン屋(しかも美味しい!)だったと聞いています。玄関が食べるスペースだったらしく、玄関としてはとても広いのですが、使い勝手もよく快適です。 

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これからについて
 こうして暮らせていることに感謝しながら、これからも日々の暮らしを丁寧に楽しんでいきたいと思っています。息子がもう少し大きくなったら、味噌づくりやお菓子づくりや土いじりなど、なんでも一緒にできると思うので、それもまた楽しみです。また、これまでの経験を活かした仕事も、少しずつ始めていきたいと思っています。 

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インタビューを終えて

 噂にお伺いしていた通り、地域に溶け込み、みなさんに受け入れらているのだなというのが人柄から伝わる西さん。三島町に移住される方の中には、手しごとに興味があり、丁寧な手作りの暮らしをしていきたいと思っている人が多いのだなということが改めてわかり、こういう暮らしのことをシェアできる方が近くにいるのはとてもうれしく、これからますます楽しくなっていきそうだなとワクワクする時間となりました。

梅仕事

今年も梅仕事を少しずつやっております。

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会津には、会津美里町の高田梅という梅が特産としてあります。この梅はゴルフボールほどもあると言われるくらい、大きく肉厚な梅です。お店には大中小で値段別に売られており、実際私が手に入れるのはそんな大きな梅ではありませんが、それでも立派な梅です。何より、地のものを使えるのがいいなと思っています。

この梅で梅酒と梅シロップを作り、このあとは梅漬けを作る予定です。

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当地では梅干しを作るより、この高田梅で梅漬け、甘漬けといって氷砂糖と紫蘇の葉でつけるカリカリ梅を作る風習があります。

田舎暮らし願望のあった私には、梅仕事という言葉には魅惑的な響きがあり、まだまだ途上ではあるけれど、それができる今とても満ち足りた気持ちになります。

家庭菜園 

畑をやっている人たちの野菜ができはじめ、最近はお野菜のおすそ分けをいただけるようになりました。みなさんが丹精込めて作ったお野菜はどれも新鮮でおいしく、ありがたい日々です。

 

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そして、私も野菜づくりしたいなとふつふつ思っていたところ、思わず小さな菜園スペースを手に入れました。借りている駐車場の草取りにようやく着手したところ、コンクリートを打っていない土の場所が見つかったのです。

 

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スギナなのかドクダミなのか、ゴボウのような太く頑丈な根が地中深く張り巡らされており、開墾には苦労しましたが、長年の草がたい肥となったのか場所によっては豊かそうな土もあり、びっくりしました。

 

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ここに、青じそと黒豆の苗を植え、小松菜の種をまきました!

 

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あと少し、何か植えたいなと思っていますが。これからの生長が楽しみです。

プランターのトマトは収穫が始まりました!種類なのか、何か育て方に問題があるのか、皮が固いのが玉に瑕ですが、うれしい限りです。

 

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川霧

尾瀬を源流とする只見川沿いにある三島町では、川霧がよく見られます。

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川霧は寒暖差が激しいとき、雨上がりなど気象条件がそろうと発生しますが、梅雨から初夏にかけての今時期は特に多く見られるそうです。

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雨上がりは川も山も深呼吸しているように、霧が発生し幻想的な風景が広がります。

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 そして、毎回違う景色、刻々と変化していく様子に心奪われます。

 

 

工人まつり

6月8日・9日(毎年6月の第二週目の土日)は三島町の一大イベント、『ふるさと会津工人まつり』でした。

 

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全国から手仕事の作り手さんたちが集まり、全国からそういうものが好きなお客さんが集まるイベント。今年で33回目を迎える歴史あるイベントです。

自分の気に入った、作り手の顔が見えたり物語りのあるものを少しずつ揃えていきたいと思っているので、私も楽しみなイベントです。

 

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素敵だなぁとうっとりするものばかりで、あれもこれもと欲張りたくなりますが、今回はお弁当箱を買いました。今まで適当なタッパーウェアだったので、これで毎日のお弁当が楽しくなりそうです。漆の塗り直しもしてくださるので、長くお付き合いできそうです。

 

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「めんぱ」という木のお弁当

 

工人まつり会場近くでは、『山と木の市場』という木にまつわるイベントも開催されており、そこでかんな削り体験をしてきました。この削りかすがあまりにいい匂いで、感動!防虫効果もあるようなので、箪笥に入れました。

 

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ヒバとヒノキ

 

この他に『てわっさの里まつり』も開催されており、この2日間はまさしく町を挙げての手仕事の祭典。

ここで毎年少しずつ、お気に入りの暮らしのものを集めていけたらなと思っています。