奥会津三島町での日々

噛めば噛むほど美味しいスルメのような魅力を持つ奥会津三島町の暮らしや協力隊活動の様子を書いてゆきます。

山の中のおばあちゃん

山の中に一人で住んでいるおばあちゃんがいます。

そこにはおうちが2軒しかなく、少し前までは隣にもう一人おばあちゃんもいたようですが、今はみんないなくなって一人きり。週末や休みのときに息子さんたちが訪ねてきたり、親せきや友人知人が時々あそびに寄る以外は一人きり。

90歳のおばあちゃんが畑仕事して、編み組細工をしながら山の中で一人で暮しています。

おばあちゃんは「こんな山奥に年寄りが一人でって言われるけれど、全然大丈夫だ」「自分が生きているうちはこのうち守らなきゃなんね」「家の周りを草だらけにするわけにはいかねぇ」とよく言っています。

 

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雪がじゃんじゃんと降る本日

 

冬の間は、息子さんのいるところで過ごします。クリスマスの頃に行って、春のお彼岸のに合わせて戻ってきます。行く前、おばあちゃんは「おれも年だからな。また帰ってこれるかどうか」と繰り返し言っていました。

でも、おばあちゃんはちゃんとお彼岸に間に合うように戻ってきていました。

おばあちゃんがいかに春を楽しみに待っているか。今はここで冬が越せなくなったけれど、春の喜びは変わらずあるようで、戻ってきたおばあちゃんの顔はうれしそう。

 

昔々機械なんかもない頃は、どれだけ除雪が大変だったことでしょう。私には想像することさえできませんが、だからこそ、春が来る喜びも大きく深く濃いものなのでしょう。便利な世の中の恩恵を存分に受けて暮している私が、そんなに簡単に言ってはいけないのかもしれませんが、春の喜びを同じように感じることはもうできないことに、一抹の残念さを感じないでもありません。

おばあちゃんから昔の話を聞いていると、その暮らしは私の想像を超えるもの。初めてここにおばあちゃんが本当に一人で暮していると知ったとき、そしておばあちゃんの話を聞いたときの衝撃は、もしかしたら海外を旅した時に感じたカルチャーショックより大きかったかもしれません。

自分の生まれ育った日本でありながら、自分の生まれ育った場所と地続きでありながらも、こんなにも違う生活をしてきた人がまだいるという衝撃は本当に大きかったように思います。

だから、おばあちゃんから昔の話、暮らしのこと、色んなことを聞けるうちに聞いておきたいと思うのです。学べることを学べるうちに学びたいと思うのです。

 

おばあちゃんがちゃんと帰ってきてくれて本当にうれしいです。雪の中で一人。今日は大丈夫かなと思い馳せます。 

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