奥会津三島町での日々

噛めば噛むほど美味しいスルメのような魅力を持つ奥会津三島町の暮らしや協力隊活動の様子を書いてゆきます。

移住者インタビューその7

武岡 優里さん(34歳)

浜通り出身。高校卒業後、都内などで飲食業や接客業をしていましたが、2018年4月大好きだった三島町へと移住。町内のゲストハウスソコカシコ(https://sokokashiko.info/)に勤め、料理の腕をふるっていらっしゃいます。

 

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三島町に移住したいきさつ

 「田植えをしたいな」「土いじりをしたいな」と思っていた一昨年の5月、三島町の田舎暮らし体験ツアー(www.mishima-kankou.net/20190307/)の情報を見つけ、参加しました。田植え、大谷の景色、手作りのご飯…自分がほしかったものがここにあると心動かされ、感動しました。夜の宴席では地元の方々が一升瓶を持って湯飲みにお酒を注いでくれながら交流したのですが、それがまた楽しく、帰りたくないと思いました。本当に楽しく美味しい時間でした。

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ツアーでの食事

 

 その後稲刈りや味噌づくり、トレッキングの体験ツアーに参加しましたが、それとは別に個人的にも月一度のペースで三島町へ通うようになりました。回数を重ねるごとにここに住みたいと思うようになり、知り合いもでき、ソコカシコでのお仕事のお誘いを受けました。今までの飲食や接客の経験を活かせ、自分のやりたいことにもつながるお話だったので、飛びつきました(笑)。
 

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雪上トレッキングツアー

 

 そして、空き家バンクを中心に家探しを始めました。本当は大きな古民家に住みたいという希望があったのですが、相談に乗っていただいた方みなさんから、「冬に女一人で住めるのかよく考えろ~!」と反対され…今の家に落ち着きました。家の状態はよく、特にキッチンの前に畑が広がり、この景色を見ながらでお料理できるのは幸せなので、結果よかったと思っています。

 

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 自分の力だけでは移住できなかったと思います。通うことで知り合いができ、人とのつながりができたからこそ、仕事や住まいが見つかったのであり、これは本当にありがたいなと思っています。

今の暮らしについて

 最低1日2回は、「あぁきれいだなー」と思う景色に出会います。それを思うだけで、こちらに来てよかったと思います。
 1年4カ月が経ちましたが、ここまであっという間の日々でした。昨年は家の片付けがあり、新しい仕事にも慣れなくてはならず、正直毎日いっぱいいっぱいでした。ようやく家の片付けも済み、気持ちに余裕が生まれてきたので、今年は畑を始めました。近所の人に草刈り機や耕耘機を借りて畑を耕し、教わりながらやっています。草取りが追いつかないですが、自分で野菜を育てるのは楽しいです。
 

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一番愛情を込めているスイカ

 

 初夏の頃は外にテーブルを出し、そこで近所の方や友人たちとお茶会や食事をしました。近所の方が散歩や畑作業の時に寄ってくれるのがれしいです。こうやって人が集う場所になっていったらなと思っています。

 

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 仕事柄、町内外の多くの方に会いますが、都内で働くより刺激的だなと思うことがあります。東京では会わなかったような人と出会い、仲良くなることもあるということが不思議でした。言うまでもなく母数は東京の方が多く、色々な人もいますが、こちらにいると、顔を合わせたら基本話し、一人一人としっかり関わるからかもしれないですね。

 

三島の魅力
 「なぜ三島に来たの?」と聞かれると、「人」といつも答えています。たまたま三島町だったというだけかもしれないですが、ツアーに参加し、知り合いができ、当時の私は『三島バカ』と自称するほど、どんどん三島町の人に惹かれていきました。私は海側の生まれ育ちですが、こちらの山の文化や景色が自分は好きで合うのだと思います。
 また、古いものへの憧れがある私にとって、想いとともに受け継がれている文化があるのはもう一つの大きな魅力です。
 その一つが、私は食いしん坊なので、食、受け継がれている郷土食にとても興味があります。山菜料理や三五八(麹を使った発酵食品)など、こちらに来てずいぶん料理の幅が広がりました。イワナを釣って焼いたり、春の山菜、夏の野菜、秋のきのこ、こちらには新鮮な食材がたくさんあり、とても豊かだなと思います。

 

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揚げびたし(新鮮なものはシンプルが一番!)


 仕事で料理を提供していますが、三島のお母さんたちのご飯には到底かなわないです。先生がたくさんいてくれるので、郷土料理や保存食などをこれからもっと勉強していきたいです。

 昨年、町の文化祭で語り部サークルちゃんちゃんこのお話を聞き、とても感動しました。自分もでしたが、お話を聞きながら、大の大人が本気で笑ったり泣いたり、こんなにも人を感動させられるのはすごいと思いました。もっとお話を聞きたいという気持ちと、おこがましくも自分もやってみたいという気持ちが芽生え、12月よりサークルに入会させてもらいました。毎月一回、語り部のみなさんと同じ空間にいられるということがとても楽しいです。言葉、方言など知らないことが多すぎて今はまだ到底語れませんが、30年あれば、自分も何か語れるようになるのではないかと密かに思っています。そうなるためにも、ここでの暮らしの一つ一つが大事だなと思っています。今は道具一つ、足下の花の名一つ知らないですからね。日々生活していく中、経験していく中で身につけていけたらと思います。
 

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インタビューを終えて

 同じ時期に移住し、同級生ということもあり、似たような感覚でわくわくしたり、感動したり、色々と共有できることが多い友人が今回のお相手でした。改めて何がきっかけでこちらへ来たのか、三島町のどんなところが好きなのかなどお話を伺い、本当に三島町が好きで、導かれるようにこちらへやってきたのだなということを強く感じました。その人柄からあっという間に地域に溶け込んでいらっしゃいますが、これから先どのように三島町での暮らしを深めていくのか、楽しみであると同時に変わらず共有していけたらなと思いました。