奥会津三島町での日々

噛めば噛むほど美味しいスルメのような魅力を持つ奥会津三島町の暮らしや協力隊活動の様子を書いてゆきます。

雪舞う季節

三島町では、確か先週の20日に初雪が降りました。町の方では積もりませんでしたが、山の上はうっすら雪をかぶっていました。

 

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石油を買い込み、タイヤ交換をし、家の雪囲いをしたり/してもらい、あとは本格的な冬が来るのを待つのみ。

 

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まだ秋を惜しむ気持ちもありますが、昨日も気温がいよいよ下がってきて、途中から雪に。下手な格好で外に出たので、身体の芯から冷えきり、いよいよ冬が来たのだなぁと実感しました。

昨年は雪が少なく、雪国一年目の新人にはありがたかったですが、今年はどうでしょう。楽しみ半分、不安半分いうところでしょうか。

でも、あの何もかもを真っ白に覆いつくしてしまう雪、キラキラ舞う雪、そして白銀の世界でのスキーやカンジキ歩きを思うと、楽しみでなりません。

 

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移住者インタビューその9

時任真由美さん(46歳)
名古屋市出身。東京都で印刷会社オペレーターとして勤務していましたが、2015年から一年間、会津若松市で養蜂を学んだのち、2017年12月に三島町へと移住。2018年4月には時任養蜂園として独立されました。

 

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巣箱の中を確認する内検という作業中

 

三島町へと移住したいきさつ
 会津への移住を考えた最初のきっかけは猪苗代のマラソン大会でした。会津若松市に宿泊しましたが、ゆったりした雰囲気で、何となく深呼吸できるいい場所だなと感じました。

 また、同じ頃ミツバチの生態を取り上げたテレビ番組を観て、ミツバチにとても興味を持ちました。今までハチを見てもただ「ハチが飛んでいるな~」くらいにしか思っていなかったのですが、一気にハチの世界に惹かれました。

 会津地域は養蜂が盛んと知り、ひとまず会津若松市で一年間養蜂の研修を受けることにしました。その後ご縁があり、三島町の桐の里産業株式会社の社員として、三島町で養蜂を始めました。ただ、当初は会津若松市から通っていました。巣箱のある三島町に通うよりもハチの近くに暮らしたいと思っていたところ、川井地区の空き家を紹介していただき、2017年12月に三島町へと住まいも移しました。この数年間で都会、建物の中での仕事から養蜂家に、全く新しい世界へと飛躍しました。

 

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蕎麦の花でお仕事中の働きバチ

ミツバチのこと

 ミツバチは本当に優秀で、どんな切り口からでもお話することができます。私はもともと自然や環境などについて考える方ではありませんでしたが、ミツバチを通して自然環境や循環などについて考えるようになりました。

 ミツバチはもっとも進化に成功した生き物の一つなのではないかと思っています。ミツバチは花を傷つけることなく、花が与えてくれるミツをエサとしていただき、さらに受粉を促します。例えば、イモムシのように葉っぱを食べつくしてしまうということはなく、他者に害を全く与えることがありません。針で刺すというイメージがありますが、実はとても平和的な生き物です。花はミツバチに来てもらえるように進化してきたとも言われ、自然が維持されていくにはちゃんと理由があるのだなと、ハチを通して学んでいます。

 

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蜜の詰まった巣

 また、ミツバチは一匹では生きていけない、巣箱の中でone familyとして生きる社会的な生き物です。一匹の女王バチが全てのハチを産みますが、彼女の役割は卵を産むこと。赤ちゃんのお世話は先に生まれたお姉ちゃんたち=働きバチが行います。働きバチの一生は1か月~40日ほどですが、ミツを集めるのは最終段階で、それまでは下積み期間です。巣作りや巣の中の掃除、赤ちゃんのお世話など、まずは危険の少ない巣の中の仕事をします。その後、巣の門番を経て、危険も伴うミツ集めの仕事に出かけます。働きバチ同士でコミュニケーションをとり、どこに美味しいミツがあるのか教え合います。ハチの数が増えると分蜂といって新しい女王バチを残し、古い女王バチと半分の働きバチが引っ越しをしますが、その際も働きバチが新しい巣の候補地を探索し、多数決で良い場所を決めます。働きバチの総意が全てです。

 

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巣の中でお仕事している働きバチ

 

こういったハチの生態は本を読んで学んだりもしますが、実際にハチの様子を見て、やってみて、実感としてわかるようになります。 

 

養蜂家として
 間違いなくいいものを作っているという自信はあります。三島町には本当に素晴らしい蜜源があります。会津地方の代表的蜜源の栃の木も多く自生しており、質の良い栃蜜が採れます。5月半ば~末までが栃の時期で、その後アカシアやキハダなどが続きます。昨年は猛暑や水不足もあり、養蜂家としての管理が不十分でミツバチが多く死んでしまいましたが、今年は今のところ順調にいっています。

 

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巣箱と栃の木

 

 今後もっと生産量を増やし、販路を拡大していきたいと思っています。印刷会社で働いていたので、パッケージデザインなどは前職を活かしながらできますが、営業など外に出ていくことは正直苦手です。

 

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自身でデザインしたイベント用大判バナー

 

 それでも、町に良くしていただき、ふるさと納税の返礼品に使っていただいたり、イベントの際に声をかけていただけ、ありがたいです。また、たまたまですが、三島町には養蜂家が一人しかいないのはラッキーだったなとも思っています。

 先日、道の駅で「このハチミツをお土産にもらったのだけど、おいしいのよ~」と言って買ってくださる方がいらっしゃり、とてもうれしかったです。町の方にも徐々に認めてもらえているのかなと手ごたえを感じています。町の方が「美味しい」と認めてくれ、それが町外、県外の人々にも広まっていったらいいなと思っています。

 また、町内のイベントを通して三島町に興味のある方と出会い、ミツロウを使った商品化の話が出たりと、少しずつ新しい可能性も生まれつつあるなと感じています。

 

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遠心分離機を使っての採蜜

 

 まだ初めて数年。うまくいかないこと、結果が出ないこともありますが、この道でやっていくと覚悟を決めて始めたので、1~2年やってうまくいかないからと言って辞めるつもりはありません。無駄かなと思うことをやったりもしていますが、後々つながることもあると思うので、続ける/やめるの判断は難しいです。

 それでも、大好きなミツバチに関わるこの仕事は本当に楽しいです。一匹のハチが一生で集められるミツの量はティースプーン一杯ほど。そのことを思とうとミツバチが愛おしくハチミツが貴重なものに思えます。一人でやっているので、できることをやっていくしかありません。

 このインタビューを通して、みなさんにミツバチのことをもっと知ってもらえたらいいなとも思っています。

 

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てわっさの里まつりに出店したときの様子

 

インタビューを終えて

 ミツバチに対する愛情あふれる時任さんを通して知るハチの世界は、本当に魅力的で興味深く、とても楽しいインタビュー時間となりました。お伺いしたハチのお話、すべてを載せることはできなかったのですが、私もどんどんミツバチの世界に引き込まれてしまい、もっとお話を聞いていたいと思うほどでした。
 また、好きなことを仕事にする、自分でやっていくということについて、お話が伺えたのはとてもよかったです。そこには多大なご苦労などもあるのでしょうが、覚悟を持って、一つ一つ丁寧に経験を積み重ねていらっしゃる時任さんの姿勢は、心の琴線に触れました。時任養蜂園のますますのご発展を心より応援しています。

深まりゆく秋

日々、紅葉黄葉が深まっていて、町内を歩いていると、そして車を走らせていると、はっと心奪われる景色がばんばん目に飛び込んできます。

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三島町のシンボル只見川第一橋梁展望台からの景色も紅葉が見事です。この週末は本当に多くの方がいらっしゃったようです。

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昔は10月下旬が見ごろだった紅葉は、近年は温暖化の影響か11月上旬になってきたようです。

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この時期になると、夜はずいぶん早くやってきて、朝夕は寒く、今週はみぞれが降るかもという話も耳にしました。町内の方々も畑を片付けたり、家の雪囲いなど冬支度を始めていて、冬がもうすぐそこまでやってきていることを感じます。

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あと少し、秋の陽気を楽しみたいです。

志津倉山歩き

先日、志津倉山かしゃ猫ロードトレッキングに参加し、全長2キロほどの志津倉山の麓を歩いてきました。

日陰にいるとフリースを着てもこもこでもガチガチ震えるような寒ーい朝でしたが、秋晴れに恵まれ、太陽が高くなってくるとぽかぽかと暖かい気持ちの良い一日でした。

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今年は、紅葉いまいちだね」、「落ち葉が色づかずに枯れて散ってしまうね~」なんて言われていますが、山の中には色とりどりの葉っぱがあり、太陽の光を透かしてキラキラと美しかったです。

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豊かな森の彩りは目に、水の流れる音は耳に優しく、ふかふかの落ち葉は足に心地よく、参加者の皆さんも私も森の恵みを堪能してきました。

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ここは樹齢400年を超えるブナや栃など巨木が残されている原生林でもあり、三島町のパワースポットだなぁと個人的には思っています。

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見える景色も時々で変わるので、季節ごとに訪れたくなる場所です。

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三坂山と紅葉

昨日は久々の晴天、町内にある美坂高原と三坂山(標高832m)へ行ってきました。

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初めて三坂山に登りましたが、山頂からは町内が一望でき、遠くには磐梯山の雄姿も望めます。

美坂高原から山頂までゆっくり歩いて往復3時間ほど。この時期はクマやイノシシに注特に意し、対策をしなくてはなりませんが、気持ちの良いハイキングコースです。

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山の中にはブナ林も広がっており、昨日は青空とのコントラストが美しかったです。

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今年はお天気のせいか、葉っぱが茶色くなっていて紅葉はいまいちだなぁなんて思っていましたが、周りを見渡すと、車を走らせるといつの間に紅葉がぐんぐんと進んでいていたことに気づきました。

このあと、どんなふうに変化していくのか楽しみです。

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昔語りのこと

三島町含む奥会津会津地域には昔語りの文化が残っています。

会津の出身ではない私はもともと会津の言葉に馴染みがあるわけではなく、また幼い頃に親や祖父母から昔語りを聞いたこともないのですが、初めて聞いたとき、その言葉や語り口、話はとても懐かしく、心身に優しく染み込み、大切なものを手渡されたような気持になったのを今でもよく覚えています。

そして、話を聞きながら大の大人がけらけら笑ったり、手ぶって(「たたいて」の会津の言葉)喜んだり、そして時にしんみりと涙を流したり、その空間の一体感、暖かさが何とも心地よかったです。

 

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伝説の残る山

 

昔語りには、その土地独自の文化や歴史がその根底にあり、先人たちのものの見方、暮らしの知恵や教えなど大切なことが多分に含まれています。そして親(や年長者)が子(や年少者、周りの人々)を想う愛情、その健やかな成長や幸せを願う祈りが込められています。

 

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只見川もお話によく出てきます

 

語りの世界は本物の世界。楽しくて暖かくて深くて、時に怖くて悲しくて。語りの世界ってすごい!と、とっぷりこの世界にはまっています。

 

 

マコモダケ

マコモダケも収穫シーズンを迎えました。

マコモダケとはマコモ(真菰)というイネ科の植物の根元の部分にできる実のことで、お米と同じ時期に田んぼに植えて、同じ時期に収穫します。

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この子たちは小さいですが、大きいものは男性を優に超えるほど大きくなり、収穫はジャングルの中をかき分けていくように


昨年、初めてマコモダケの存在を知りましたが、その美味しさに一気に惚れ込んでしまいました。ほのかな甘み、シャキシャキとした歯ごたえ。タケノコのようですが、あく抜きなどの必要もなく食べやすさ満点。シンプルに油炒めにするだけで、絶品のおかずになります。

 

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ちらと調べてみると、マコモ縄文時代からの植物で、排毒作用も栄養も満点の素晴らしい食べ物だそうです。葉を乾燥させてできるマコモ茶も身体にいいそうです。

 

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タツノオトシゴのようなかわいい実

 収穫時期はこの1カ月ほどととても短いですが、稲より育てる手間もかからず、美味しくて身体にもよく、可能性をたくさん秘めている植物だなと熱い想いを寄せています。