奥会津三島町での日々

噛めば噛むほど美味しいスルメのような魅力を持つ奥会津三島町の暮らしや協力隊活動の様子を書いてゆきます。

間方地区のこと


三島町の中心地から三谷街道という川沿いの道を山奥へ進んで行くと大谷地区、浅岐地区と4Kmずつ間隔をあけて集落があり、その最奥部に間方地区があります。標高も高くなり、三島の中で最も雪深い地域です。私はこの街道沿いの集落が好きなのですが、最近は先日のツアーも含めよく間方にあそびに行かせてもらっています。

 

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間方への道のり

三島町には暮らしの知恵とか伝統が色々と残っていますが、特に間方地区にはそういったものが色濃く残っているように感じています。

 

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アサツキ

「あさつきが出てるぞ。」、「ここは秋になるとまつたけが出るんだな~。」、「この先にコゴミがたくさん出る場所があるんだ」、「そこを歩くと雪崩になるから、そっちに行くな」、「春になって木が水を吸い上げているから、木の周りが解けているんだ」などなど、そういったお話を聞きながら山を歩けるのは楽しい時間です。

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木の周りから雪解け

 

ここの人たちにとっては子どもの頃から暮らしの中で身近に触れ、育まれてきたものなのでしょうが、私はこういうものとはほとんど無縁に育ってきて、大人になってから興味を持ち求めるようになったので、こういう話を聞いたり教えてもらえる時間がありがたくてなりません。すでに失われた/失われつつものもあるのでしょうが、「間に合ってよかった」と折に触れ思うことがあります。

 

またここの人たちはあそび方も豊富に知っていてます。山奥ゆえ与えられる娯楽はほとんどなく、川でも雪でも火でも、あそびなんて感覚はなくとも、みんな自分たちであそびを考えてきたのでしょう。おじちゃんたちは本当にいろんなあそび方、楽しみ方を知っていて、先日のツアーでもその一部を教えていただきました。

 

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昔は杉の葉をそりにして滑っていたとか。

 

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滑りはまぁまぁ。

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今の時代は銀マットで!こんな発想も私には初めてで感動しました。滑りも抜群でした!

 

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かたゆきわたり

そしてこの日、かたゆきわたりというのを体験しました。
通常ならかんじきを履かないとずぼずぼ股の下まで埋まってしまう雪の上を、条件がそろうと沈むことなく歩くことができるのです。春が近づいて気温が上がってくるとできる遊び。日中雪が溶け、その溶けたものが夜の冷え込みで凍ることで、翌朝早い時間帯に雪の上そのまま歩けるのです。通常だと3月にならないとできないそうですが、今年はそれがずいぶん早くできました。

「昔はよくかたゆきわたりをして遊んだんだ。」とおばあちゃんやおじちゃんたちが話していたかたゆきわたり。それが宮沢賢治の『雪渡り』に出てくるあそびと結びつきいつかしてみたいなと思っていたのですが、それを今回体験することができとても感慨深かったです。

 

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スノーモービル

切った木を運び出すのに使うというスノーモービル。これを持っている人が結構いることも驚いたことの一つで、まさかスノーモービルにも乗せてもらえるなんて、来る前は思いもよりませんでした。

 

きっと、まだまだ私の知らないことは三島にたくさんあるのでしょうが、少しずつ発見し、体験していきたいなと思っています。