奥会津三島町での日々

噛めば噛むほど美味しいスルメのような魅力を持つ奥会津三島町の暮らしや協力隊活動の様子を書いてゆきます。

移住者インタビューその10

三井康二さん(35歳)

山梨県出身。編み組を習いに2018年4月に三島町へと移住しました。現在は町内で週3日ほどアルバイトをしながら編み組をし、屋号マルミとして編み組製品を出品しています。

 

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*編み組とは、山で採れるヒロロやマタタビ蔓、山ぶどう蔓などの自然材料から作られた籠や笊などのことで、「奥会津編み組細工」として、国の伝統工芸品に指定されています。詳しくは生活工芸館へ。

 

三島町へと移住したいきさつ

 もともとものづくりが好きで、木工をかじったこともありましたが、そのうちに編み組に興味を持つようになりました。山梨でもおじいちゃんおばあちゃんがやっていて、道の駅などに出しているのですが、それを見て「自分でもできそう」と思い、5~6年前から独学でアケビや籐で編み組をするようになりました。当初は趣味としてやっていましたが、編み組をしている人、特に若い世代は少ないので、生業としてやっていける可能性があるのではないかと思うようになりした。

 

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 ある雑誌で三島町の編み組を知り、山ぶどう細工を習いたいと思い、三島町へ問い合わせをしました。ちょうどその時期に町主催の移住相談会があると紹介され、早速参加しました。2018年2~3月の頃です。色々と話を聞き、町外の人が編み組を本気で学ぶのは難しいとわかり、空き家を借り住むことに決めました。

 こちらに来てしばらくは、家の片付けをしていました。いわゆる居ぬき物件だったため、家財がそのまま残っており、まずはその処分から始めました。また壁を張り替えるなどのリフォームも少しずつ自分でしました。最初の段階で、ある程度まとまった時間を使って家を片付けられたのはよかったです。

 

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編み組について

 山ぶどうのバッグは、昨冬初めて習いました。その後は色んな人にアドバイスを聞きながら、自分なりに工夫しながらやっています。編み組の世界は奥深く、飽きることがありません。今ようやく基礎の基礎を習得したあたりで、まだまだできない技、工夫の余地があるなと感じています。ある程度基礎ができるようになればあとは応用なのでしょうが、一生修行と思っています。満足したらそれ以上成長しないですからね。

 イスの座面に山ぶどうを張るのはオリジナルだと思います。もったいない使い方だと言われることもありますが、自分としてはそれ自体がかっこよく、カバンより使う頻度が高く、毎日使ってもらえるものなので、気に入っています。

 

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 作ったものは工芸館に出したり、イベントに出店して売っています。去年と今年は、てわっさの里まつりに参加しましたが、来年は工人まつりに出したいと思っています。また、毎年6月と11月は地元の山梨と長野のイベントに参加しています。旧友にも会えるし、センスのいい出展者がたくさんいるのでいい刺激になります。

 2年目も後半に入り、徐々に生業としての手ごたえも感じています。いずれはこれ一本で食べていけたらと思っています。

 

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移住してよかったこと

 不便はありますが、苦労はないです。苦労と思ったら嫌になってしまうと思います。不便は手間がかかるけれど、慣れれば問題はありません。そして、それは誘惑がないとも言えます。自分は誘惑に弱いので、「便利なもの」があるとすぐ行って、時間とお金を使ってしまいます。でも、今はそういうものが少ないので、作業するしかない。集中できていいです。そういう便利さは山梨に行ったときに味わえばいいかなと思っています。

 

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 ここはとてもいい仕事環境です。水場が近くにあり、そこに材料をつけられるのはいいです。夏場は暑いので、金山町の沼沢湖へ行って、湖畔で作業します。材料を水につけている間に泳いだりしながら、主に小物作りをしていましたが、最高に気持ちがいいですね。

 やりたいこと、やることは常にたくさんあります。一人なので、なかなか手が回らないですが、基本あそびながら自分のペースで好きなようにやっているので、毎日楽しいです。

 

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インタビューを終えて

 今回は、同じ時期に移住した同級生仲間に改めてお話を聞きました。抜群のセンスの持ち主で、住まい兼作業場はどんどん進化しており、いつ行っても素敵だなぁと思う居心地いい空間です。誰に対しても、何に対しても軽やかでオープンな性格から、老若男女問わず、多くの方から親しみを持たれています。ご本人もこの空間も、どのように進化していくのか、今後がますます楽しみです。